会長あいさつ

会長挨拶
日本教育メディア学会 第9期会長 小柳和喜雄(奈良教育大学)

 本学会は,「沿革」に記されているように,「視聴覚教育研究協議会」「放送教育研究協議会」そして「日本視聴覚教育学会」「日本放送教育学会」をその前身として,1998年から,現在の名称「日本教育メディア学会」として歩んで参りました。
まもなく時代は,平成から次の元号の時代を迎え,国をあげた大きなイベントとして,2回目の東京オリンピックを迎えます。偶然にも1回目の東京オリンピックの開催の年であった1964年に「日本視聴覚教育学会」が発足し,「放送教育」との関わりで言えば,2019年はNHK教育テレビが放送されて,今年で60年にあたります。
 時代の転換期の中で,歴史ある本学会の第9期を担うことになり,その責任の重さを感じております。
 学会は,基本的には,そこに参加する 1人1人が,ある思いや考えを持って参加され,そこで学び合い,知見を蓄積していく場と考えています。そのため,会員が学会活動を通じて,満足でき,所属意識やアイデンティティを感じてもらえるように,運営を進めていくことが重要と考えております。
上記のことを大前提としながらも,私としては,この3年間は,先人が築かれた財産を継承しながら,次の新時代へ橋渡しする基盤作りを行うこととミッションとして,次の3点に,力点を入れて取り組んでいきたいと考えております。
 1つ目は,日本教育メディア学会として歩み出して20年を経てきたこともあり,「歴史とその論理を振り返り,成果のまとめ,次への展望を示す」ことです。この20年,学会としてどのような歩みをしてきたかを丁寧に振り返り,記録として残して行きたいと思います。学会の前史から何を引き継ぎ,時代やメディア環境の変化の中で,何に取り組んできたのか。学会としてどのような研究知見が蓄積され,社会貢献を果たしてきたのか。学会としての強み(存在意義)はどこにあるのか。次の時代の研究に向けて,我々は今どのように歩み出しているのか,何を目指すのか。そして,この先10年後,20年後の学会の活動に向けてのヴィジョンをより明らかにできたらと思っています。
 2つ目は,本学会が大事にしてきた「『教育内容に関心を向けた教育メディア研究の成果』と『教育方法に関心を向けた教育メディア研究の成果』を教育実践により積極的に活かしていく」ことです。2016年1月22日に閣議決定された第5期科学技術基本計画(2016年度~2020年度の5年間を対象)の中でSociety5.0が語られ,そしてそこでの検討事案を受けて,文部科学省が審議してきた内容(人材像,学校や学びの在り方,今後の教育政策の方向性等)が 2018年6月5日に語られました。その中で,今後の学校のイメージとして学校ver.3.0が明らかにされ,次の学習指導要領が完全実施される2020年を前に,教育政策や学校での取組についても,その影響が見え隠れし始めています。その政策イメージは教育メディア研究から見てどのように判断できるのか,行政の動きと一定距離を保ちながらも,学会として,研究成果とその知見を生かしながら,学校の実践に貢献できること,また国の教育政策に対して,知見の提供等に貢献できたらと思っています。
 最後に3つ目は,「国際的な研究交流の持続的な発展」です。本学会は,久保田元会長,鈴木元会長,黒上前会長等,関連の皆様のご努力によって,the International Conference for Media in Education(ICoME)を,毎年,他国と共同開催し,国際ジャーナル(International Journal of Educational Media and Technology)の発刊もしてきた実績があります。このような取組を実際に行ってきた経験を持つ国内の教育の関連学会は,見当たりません。それだけの実績を上げてきた学会であると思います。運営などで大変なことは承知しているのですが,会員全員が自負と当事者意識を持って,また次の世代の教育者,研究者が,国内の研究はもとより,国際的にも,よりその研究交流を進め深めていくことができるように,「国際的な研究交流の持続的な発展」を大切にしていきたいと思います。
 上記のことは,皆様のご理解とご協力をもって可能となります。学会活動を通じて,教育実践,教育研究,社会に貢献ができるように,皆様のお力をお貸しいただければ幸いです。

2019年1月18日