2014年度第1回研究会

2014年度第1回研究会が、長崎県立大学 佐世保校にて2014年7月13日(日)に開催されました.本州最西端にある本校まで足を運んでいただいた会員以外も含めた大学教員や学校教師,学生の参加のもと,合計で6件の研究発表が行われました.

今回の研究会のテーマは「人・学校・周辺環境を結ぶICT活用の教育実践/一般」でした.これは近年,小学校から大学までのすべての教育機関において,学校教育に加え,産学官協同の実践的研究・協働活動,地域コミュニティの活性化などの社会貢献活動,社会や会社で即戦力となる実践的教育活動といった多種多様な実践が広がっていることから設定したものです.

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このようなテーマの元,地域課題を題材としたPBL活動のデザインや実践事例に関する発表として,地域の課題を解決する協働活動のグループディスカッションや情報発信の場をSNS上に設けSNSを学生が能動的に学べる教育ツールとして活用した研究や地域課題を解決するPBL活動の設計とポートフォリオ活用の実践の研究がありました.また,様々な社会問題を解決するための研修・授業・教材の開発に関する発表として,ICT活用の中でも不足しがちな情報モラルや漏洩問題に対応する教員研修の実践,マスメディアついての批判的思考力を育てる教材の開発といったものがありました.さらに学校での教育方法や教育デザインの活用方法や活用実践を支える研究の発表として,思考過程を可視化するシンキングツールを小学校で活用した実践,インストラクショナルデザインの情報提供形態の現状分析と今後の発展の発表がありました.

すべての発表の終了後には全体リフレクションとして,発表者も含む会場の参加者とともに,今回の発表を振り返りとして感想や意見などをいただきながら,時代とともに広がっている教育課題について議論しました.協働活動の評価の方法をより明確にしていくことや,ICTの活用方法の今後に関する意見などがありました.
全体を通して,ICT活用を基本としながらも,初等教育~社会人教育と対象も幅広く,取り扱う教育内容や目的も様々でありましたが,リフレクションの時間には多岐にわたる視点からの活発な発言をいただき,刺激的で充実した時間となりました.本研究会にご参加いただきました皆様に改めて御礼を申し上げます.

 (文責:長崎県立大学 井ノ上憲司)

 

日本教育メディア学会2014年度第1回研究会のお知らせ
テーマ「人・学校・周辺環境を結ぶICT活用の教育実践/一般」

研究委員会 国内研究会担当 委員長 浅井和行,本企画担当 井ノ上憲司

 近年,小学校から大学までのすべての教育機関において,それぞれの学校教育に加え,産学官協同事業のような実践的研究・協働活動であったり,地域コミュニティの活性化などの社会貢献活動であったり,社会や会社で即戦力となる実践的教育活動といった多種多様な実践が学校にも求められるようになってきています。また,授業そのものも,アクティブラーニングや反転授業といった形態の変化が起こってきており,その中でも情報機器は教師・教員,学習者,地域,学校などを周辺環境を結び,活用できる可能性を持っているといえます。そこで今回は,情報機器を活用し学習者と教育者とその周辺を結ぶ教育に関する実践を広く募集し,議論できる機会としたいと思います。また,このテーマに限らず広く本学会の研究分野に関わる発表も歓迎いたします。

■ 日時 2014年7月13日(日曜日) 午後1時から4時
■ 場所 長崎県立大学 佐世保校 本館1階102教室
   住所:長崎県佐世保市川下町123  http://sun.ac.jp/access/#sasebo
   最寄り駅:松浦鉄道 大学駅(佐世保駅より30分)下車後、徒歩400m
   長崎空港〜佐世保駅(高速バスまたはジャンボタクシー) 60分
   福岡空港〜博多駅〜佐世保駅(JR特急みどり または 高速バス させぼ号)110分

■ プログラム:
・研究発表前半 13:00~14:15

1.情報活用能力を高めるための教員研修の効果
前田康裕(熊本市教育センター)

2.SNSを教材とした短期大学の授業外学修に関する実践研究
小林 淳一,田畑 圭介(金沢学院短期大学)

3.小学校におけるメディアについての批判的思考力を育てる新教科の開発
浅井 和行(京都教育大学)

・研究発表後半 14:30~15:45

4.読解過程におけるシンキングツールの活用に関する評価
稲垣 忠(東北学院大学),菅原 崇志(仙台市立愛子小学校)

5.IDポータルサイトの現状と改善
市川 尚(岩手県立大学), 根本 淳子(愛媛大学),井ノ上 憲司(長崎県立大学),高橋 暁子(徳島大学),
竹岡 篤永(高知大学), 鈴木克明(熊本大学大学院)

6.「しま」体験教育プログラムの試行の設計と実施
井ノ上憲司, 中島洋, 大塚一徳(長崎県立大学)

・全体リフレクション 15:45~16:00